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育休取得は職場にとってもチャンス

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育児休業の取得率は、今後さらに高まっていくでしょうか。

会社における育休を取得しやすい雇用環境整備への取り組みもさることながら、管理職が果たす役割は大きいと考えます。

そもそも育児休業どころか、年次有給休暇の取得を好ましく思わず、部下にサービス残業をさせてでも成果を出そうとするマネジメントを行っているような場合、生産性の低い組織になっている可能性が高いでしょう。

部下が育休を取ることになったとき、何ら業務の見直しをせず、その人がやっていた仕事をそのまま他の誰かに割り振るようなやり方は、不協和音を生むだけで、とてもお勧めできません。それでは休みを取る側も気兼ねしてしまいます。

しかも、デキる社員に大量の仕事が割り振られるようなことがあれば、モチベーションは大幅にダウンしてしまうはずです。

そうではなく、こうした機会をむしろチャンスだと捉え、他のチームメンバーを含めて部署全体における業務の棚卸を行ってみるのです。このとき、管理職がいかにリーダーシップを発揮できるかが、大きな分岐点となります。

休業する本人だけでなく、他のメンバーを含め、それぞれの業務は本当に行う必要があるものか、廃止できるものやIT化できるものなどはないか、徹底的に検討します。

例えば、5人のチームで、一人が育休を取得する場合、メンバーそれぞれが10%ずつ何等かの業務を廃止することができれば、合わせて0.5人分の仕事が削減できます。

それを残りのメンバーでサポートしたり外注化したり工夫すれば、組織の生産性はより高まるはずです。

難易度の高い業務を担当する社員が不在となる場合、その一部を下位のメンバーが引き継ぐことで、スキルアップの機会にもなるでしょう。業務の属人化からも脱却できます。

休業する当事者の業務をどうカバーするかに目が行きがちですが、チーム全体の生産性に目を向けることで効率化が進みます。

これは、何も育児休業だけに限った話ではありません。

病気やけがによる入院、家族の介護など、様々な事情で突如職場を離れなくてはならないことは十分に考えられます。

こういうときこそ、チームが成長できるチャンスなのです。


執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、執筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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