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今あるものにフォーカスしよう

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以前、ファイナンシャルプランナーの友人から話を聞いて、驚いたことがあります。

それは、「20代の女性から一番多いマネー相談は、老後の資金に関する悩み」だということ。

社会人になってまだ数年の若い女性たちが、何十年も先の遠い未来を憂いて不安になっている……。日本経済の低迷が、ここまで深刻な影響を与えているとは。

女性は将来の見通しを立てたい傾向が強いとも言えますが、人生の長寿化が影響していることは確かなことでしょう。たとえパートナーがいようとも、将来おひとりさまになる確率は高いわけですから。

自分の中のバランスを保つ

自分の未来を思い描くことは大切なことです。でも、未来を心配するあまり、今という時間を無為に過ごしていることはないでしょうか。

かくいう私も、将来を憂うことはあります。遠い将来どころか、来年は大丈夫だろうか、と気持ちが塞ぐこともあります。

誰でも程度の差こそあれ、不安を感じることはあるはずです。その不安を打ち消すために、躍起になってオーバーワークになってしまったり、逆にセーブしすぎてしまったり。

そうして、自分の中でバランスを崩してしまうことが問題なのです。

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、次のような言葉を語っています。

「人は金を稼ぐために健康を犠牲にし、健康を取り戻すために金を犠牲にする。また、未来を心配しすぎるあまり、現在を楽しめない。その結果、現在を生きることも、未来を生きることもできなくなっている。そして、自分の命が永遠に続くかのように日々を漫然と生き、真の意味で生きることがないまま死んでいく」

ダライ・ラマ14世


もちろん、このような状態にはなりたい人などいないでしょう。

今の生活の先に、未来があります。ですから、もっと今を生きることにフォーカスをした方がいいに決まっています。


「今ここ」の大切さについて言うと、昔から禅の思想や心理学(心理療法)、マインドフルネスなど、精神面を支えてくれる様々なものがあります。いずれも賢人たちの叡知がつまったもので、それぞれ自分に合ったやり方を見つけ、実践するのがいちばんだと思います。

私は自分がネガティブになっているなと感じるときは、シンプルに「ないものに焦点を当てるのではなく、今すでにあるものに焦点を当てること」を意識するようにしています。


明日食べるにも事欠く状態ならいざ知らず、毎日食事ができ、住まいもあります。言葉を発することも、歩くこともできる。美しいものをこの目で見ることもできる。こうして文字を書くことも。今あるものに意識を向けたら、十分に恵まれていることに気付かされるのです。

そんなことは、当たり前だと思うでしょうか?

もしそうだと思っているなら、それは不遜です。自分にとっての当たり前は、誰にとっても当たり前なことでは決してありません。とても尊いものなのです。

不安に押し潰されそうなときがあったら、あなたも今あるものを意識して、数えてみてはどうでしょうか。感謝すべきことがたくさんあると感じられるはずです。

そうしたら、ちょっと前向きになれるのではないでしょうか。

老後の資金が不安だという前に

老後の資金が不安だという人は、十分な資産を将来作れないということにばかりに目が向いています。それでは、ますます不安が募るばかりではないでしょうか。

今すでに会社員として働いているなら、毎月給与から厚生年金保険料を天引きされています。それが将来の年金額として反映されていくわけですから、何もしていないわけではありません。

さらに増やしたければiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入してみるなど、具体的なアクションを取ればいいわけです。

それ以前に、公的年金制度の仕組みについて、ある程度の基本を理解しておくことは大切です。「将来年金はもらえない」といった誰かの言葉を鵜呑みにして、言われるがまま金融商品に手を出してしまう方がリスキーです。

これはお金に限った話ではありませんが、自分には何もない、何もしていない、と思わないことです。今すでにあるもの、できることに目を向けましょう。


自分の中でうまくバランスが取れないとき、ネガティブになっているときこそ、一呼吸おいて、今あるものにフォーカスしてみてはいかがでしょうか。


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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、エッセイスト。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに日経styleやダイヤモンド・オンライン等の経済メディア、専門誌に多数寄稿。

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