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年収と幸福度の関係、男女に違いも

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私たちが生活していくうえで、お金との縁は切れないものです。

では、お金をたくさんもっていれば、幸せになれるのでしょうか?

ドイツの哲学者ショーペンハウアーは、次のような言葉を残しています。

富は海水に似ている。海水を飲めば飲むほど、ますます喉が渇く。

ショーペンハウアー

幸福とお金の関係については、ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートンとダニエル・カーネマンの大規模調査が有名です。

それによると、年収7万5000ドル(日本円にして約850万円)を超えると、収入がそれ以上増えても幸福感は高まらないことが明らかとなりました。

ただし、日本とアメリカでは平均賃金に大きな違いがあります。

OECDの2020年度調査によると、日本の平均賃金は424万円、一方アメリカ763万円と、その差339万円もあります(余談ながら、1990年と比べると日本がたった18万円しか増えていないのに、アメリカは247万円も増えています)。

調査結果を見る際は、平均賃金の違いにも着目したいところです。


日本での調査も幾つか行われています。労働政策研究・研修機構が21年3月に発表した「就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識」の中において、性別に年収と幸福度の関連について調べたものがあります。

その調査によると、男性は年収増加に伴い幸福度が上昇し、600~700万円未満以降は横ばいとなることが明らかとなりました。男性は先行研究と同様、年収による幸福度の上昇は一定水準で頭打ちになることが示されたわけです。

一方、女性は収入が低い場合でも幸福度が比較的高いことがわかりました。敢えていうなら、年収100~200万未満から500~600万円未満まで年収増加に伴い、幸福度が緩やかに上昇していますが、幸福度と年収の関連は比較的弱いと言えます。

図表 [性別・個人年収別の幸福度] 出所:「就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識

幸福感には、「経済的豊かさ」「雇用状況」「人と社会のつながり」「将来展望」「性格特性(不安傾向が低いこと)」などが影響を与えることがわかりました。

女性の場合、収入のほか、上司や同僚との人間関係や社会とのつながり感、適切な労働負荷、職場にうまくなじむことなどで幸福度を高めていたのです。


「人の悩みの90%は人間関係である」と言われることもあるくらい、人とのつながりは重要です。

ハーバード大学の75年間にわたる成人発達研究の追跡調査によると、人間の幸福や健康を高めてくれるのは、温かな人間関係によってもたらされるということが明らかとなりました。

調査において、裕福な人ほど幸福感が高い傾向は確かに見られました。しかし、満足して幸せな人生を生きるために最も重要な要素はお金ではありませんでした。

お金は人生において大切な要素であり、決して軽く考えることはできません。自分にとって適切な額を知り、どのようにその収入を得ていくか、考えていく必要はあるでしょう。

ただ、お金以外の要素も私たちにとっては大きな意味があるということです。

温かい人間関係を築くこと、人とのつながりは、より良い人生を送るために大切だということを、私たちに改めて気づかせてくれます。


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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、エッセイスト。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに日経styleやダイヤモンド・オンライン等の経済メディア、専門誌に多数寄稿。

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