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社会保険とお金

独立・起業、フリーランスになる前に知っておきたい失業手当の話

社会保険とお金

こんにちは、佐佐木由美子です。

これから会社員を卒業して、独立開業や起業、フリーランスとして働こうと考えている方もいることでしょう。

仕事を辞めるその前に、ぜひとも知っておいていただきたい失業手当に関する話があります。

「起業するのに、なぜ失業手当?」と思われるかもしれません。

それは万一のために、セーフティーネットを確保しておくため。そう、あなた自身も守るための、まさに失業保険として。

世の中には、知っているかいないかで、雲泥の差を生むことがあります。

これからお伝えするのも、そのひとつと思ってください。

事業開始等による特例申請の要件とは?

雇用保険に加入していた人が仕事を辞めた場合、一定要件に該当すると受けられる失業手当(失業保険とも呼ばれますが、正式には「基本手当」といいます)があります。

失業手当には受給期限があって、退職日翌日から1年以内に限られています。

せっかく失業手当をもらえる権利があっても、1年を過ぎてしまうともらえなくなってしまうのです。

ところが、2022年7月1日から事業を開始等した人が事業を行っている期間等は、最大3年間受給期間に算入しない特例が新設されました。

出所:ハローワークパンフレットLL040609保01

これによって、仮に事業を休廃業した場合でも、その後の再就職活動に当たって失業手当を受給することが可能になります。

です。

そして、特例申請を行う場合には、次の5つの要件を満たす必要があります。

事業開始等による特例申請の要件

(1)事業の実施期間が30日以上であること

(2)「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかから起算して30日を経過する日が受給期間の末日以前であること

(3)就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと

(4)事業で自立することができないと認められる事業ではないこと

(5)離職日の翌日以後に開始した事業であること

※次のいずれかの場合は、(4)に該当します。

・雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険適用事業の事業主となること。

・登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証等の客観的資料で、事業の開始、事業内容と事業所の実在が確認できること。

さらに『事業を開始した日』か『事業に専念し始めた日』か『事業の準備に専念し始めた日』の翌日から2か月以内に、受給期間の延長申請を行っておくこと

この申請期間がとても重要です。

タイミング的に考えれば、「これからやるぞ!」と希望に燃えている時期であって、万が一のことなど想像したくもないはずでしょう。

けれど、何が起こるか分からないのが人生というもの。

ここはひとつ冷静に、セーフティーネットを手に入れるために対応しておきたいところです。

受給期限を延長することで、もし事業がうまくいかないときや休業したい場合に失業手当を後で申請するチャンスを残すことができます。

手続きは、お住まいを管轄するハローワーク(受給資格決定をそれ以外で行った場合は、そのハローワーク)で行います。

提出書類

1.受給期間延長等申請書

2. 次のいずれか一方

受給資格の決定を受けていない場合:離職票-2

受給資格の決定を受けている場合: 受給資格者証

3.事業を開始等した事実と開始日を確認できる書類

事業を開始した場合または事業に専念し始めた場合:登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証 等

事業の準備に専念し始めた場合:金融機関との金銭消費貸借契約書の写し、事務所貸借のための賃貸借契約書の写し等

申請に際して不明な点は、あらかじめハローワークに問い合わせて確認しておくと安心です。

この特例は、起業を後押しするために設けられたものです。

いざというときのセーフティーネットがあることで、チャレンジする勇気も生まれるというもの。ただ、知らないと活用ができません。

今後さまざまな制度が見直されたり、新設されたりすることが考えられます。

最新情報をチェックして、これからの一歩に備えてください。

★ダイヤモンド・オンラインではストーリー形式で解説しています

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、執筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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