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「二十歳の原点」と青春時代

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それは、まだ私が十代だった頃。

早く自立した大人になりたいのに、自分の未熟な部分が目につきモヤモヤしてしまう……もっと成長すれば、いつか克服できるものだろうか?と考えたりもしました。

そんな多感な時期に出会ったのが、高野悦子さんの「二十歳の原点」。青春時代の思い出の一冊です。


この本は、もともと彼女の日記として書かれたものでした。

1960年代末期、学園紛争の嵐の中で、自己を確立しようと格闘しながらも、理想を砕かれ、愛に破れ、予期せぬうちにキャンパスの孤独者となり、自ら命を絶っていった一女性の痛切な魂の記録です。

死後、父親の手でまとめられ、その後大ベストセラ―になりました。

生きる時代は違えど、その頃ちょうど学生紛争を扱った小説を読んでいたので、何となく時代背景を想像することはできました。

ちなみに、当時はまっていたのは、庄司薫氏の「赤頭巾ちゃん気をつけて」シリーズ。

国語の先生が、若い頃に夢中になって読んだ作品だと聞いて手に取ってみたところ、軽妙な文体が面白く、シリーズを読破しました。(この作品は、1969年に芥川賞を受賞)



話を「二十歳の原点」に戻しましょう。

私自身も中学生の頃から日記を書いていましたが、日記として書かれた極めて個人的な内容が出版物となることに、大きな衝撃がありました。

高野悦子さんの赤裸々な魂の叫びは、当時の私にとって心に迫るものがあり、妙にシンパシーを感じたのを覚えています。

彼女は二十歳の成人式の日に、「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」と書き残しています。

孤独さと未熟さを、嫌というほど身に染みて感じいたのでしょう。

私も当時、自分の未熟さに嫌気がさしていたので、何となく彼女の気持ちがわかったような気になったものです。独りでいることは、もともと抵抗がなかったので、全く苦にはなりませんでしたが。

あの頃は、私も自我を確立しようと必死にもがいていました。

彼女は自らその人生の幕を閉じてしまいましたが、もし生きていたら、きっと孤独さも未熟さも受け入れていたのではないでしょうか。今だからこそ、そんな風に想像したりします。


私自身はその後、様々な出来事を通して、自分の未熟さを否定するのではなく、「これも自分の一部なのだ」と、ようやく受け入れることができるようになりました。

人はその未熟さ故に、意図せず過ちを犯してしまう生きものであり、完璧な人間など、この世にいません。

自分の未熟さを受け入れられたことで、やっと自分自身を認めることができるようになったのです。

すると、物事への見方がだいぶ寛容になり、心が楽になりました。

孤独さも未熟さも受け入れることで、人は強くなれる。そして、精神的な自由を手に入れることができるのだと思います。

ちなみに、私の二十歳の原点を挙げるとすれば、「生きる覚悟を持った」ということでしょう。やっとたどり着いた境地でした。

あなたの二十歳の原点は、何でしょうか?

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、エッセイスト。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに日経styleやダイヤモンド・オンライン等の経済メディア、専門誌に多数寄稿。

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