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没後30年 木下佳通代展【埼玉県立近代美術館】

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

先日、埼玉県立近代美術館で開催中の「没後30年 木下佳通代」展を鑑賞してきました。

このエントリでは、「没後30年 木下佳通代」展と建築家・黒川紀章が初めて設計した美術館である埼玉県立近代美術館について取り上げます。

美術家・木下佳通代~「存在」に対する思索

神戸に生まれ、関西を拠点に活動した美術家・木下佳通代(1939-1994)。ほとんど知識がないまま企画展に足を運びました。

没後30年という節目に、生前を通して初めての大規模な回顧展として大阪中之島美術館との共同企画として開催された本展。それだけに、特に関東圏にお住まいの方にとって、今回初めてその名を知ったという人は多いはず。

油彩画から始まり、植物を想像させる抽象的なイメージの作品は、パウル・クレーの影響を受けて描かれたそう。確かに、そうした雰囲気が漂っています。

《無題》1962年

1970年代に入ると、写真作品に着手。

たとえば、こちらの作品は同じ壁の写真が2枚並べられています。よくみると、チョークで〇マークが書かれていることに目が行きます。

《Untitled-b/む103(壁のシミ)》1974年

映っている壁は同じでありながら、チョークの印に気付いた途端に別物として意識せざるを得なくなる。これを彼女は「ひとつの存在に対する認識の複雑性」と言っています。理知的な表現ですね。

複数の写真を用いた作品がいろいろな形で展示されています。

その後、幾何学図形を移した写真の上から同じ形をフェルトペンで書き重ねるシリーズへと展開。これらは同時代のコンセプチュアルな美術動向とも呼応して、1981年にはドイツのハイデルベルク・クンストフェラインで個展を開催し、高い評価を受けています。

海外での作品発表に意欲を燃やす様子が本人の記した手紙等からも読み取れます。

その後作風はパステルを用いたものへ、最終的に油彩とカンヴァスの表現に到達します。

《LA ’92-CA729》1992年

「存在」を追求した彼女は、「どんなイメージにもならない」作品を目指し、限られた筆のストロークによる唯一無二の作品を創り出していきます。

個人的には、油彩による晩年の作品の数々に、「生命力と存在」を感じました。

1994年、木下佳通代は55歳という若さで病気によりこの世を去りました。

病床で描いた最期の作品 《無題(絶筆・未完)》1994年

初期から晩年まで、表現方法を変えながらも一貫したコンセプトの上に作品が成立している点は興味深く、美術家としての芯の強さを感じると同時に、現代においても全く色褪せることのない瑞々しさに感銘を受けました。

この企画展は、2025年1月13日まで開催中です。

埼玉県立近代美術館

1982年に開館。建築家・黒川紀章が初めて設計した美術館であり、「国立新美術館」の波打つガラスの萌芽が感じられます。

建物は並木道の景観を生かすために高さを15m以内におさえて設計。中央には地下1階から3階までをつなぐアトリウムがあって、天窓から自然光が採り入れられるようになっています。 「椅子の美術館」とも言われ、開館当初から近代以降の優れたデザインの椅子を収集し、常時数種類が館内に展示されています。

クロード・モネ《ジヴェルニーの積みわら、夕日》の作品をはじめ、常設展(MOMASコレクション)も充実。野外展示作品は、公園内の緑を背景に楽しめます。

memo: JR京浜東北線 北浦和駅西口より徒歩3分(北浦和公園内、大きな噴水のある素敵な公園)

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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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