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フリーランスこそ断る勇気が大事

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こんにちは、佐佐木由美子です。

先日、フリーランスとして働く友人が「仕事の依頼が断れず、つい引き受けてしまう」と話していました。彼女はある分野でとても活躍していて、仕事の依頼はひっきりなし。そのため、常に仕事に追われていて、深夜まで働くスタイルがもう何年も続いてます。

私は彼女の身体が心配だったので、「無理をせずに断ったら?」と言いました。でも、お茶を濁すばかり。

なぜ断れないのか訊いてみると、「大勢の中から自分を選んで依頼してくれているのに、断るのは申し訳ない」と言うのです。断ること自体が苦手だとも。

そういう優しいところは、彼女の魅力でもあるのですが、フリーランスとして働くのであれば尚更、受ける仕事を選び、時には勇気を持って断ることも大切だと思います。

組織の一員として働く場合、上司から仕事を命じられたら、普通は断ることなどしないでしょう。自分のジョブが明確に定義されていれば、「それは自分の仕事ではありません」と言えるかもしれません。

しかし、通常は上司からの依頼(業務命令)を無視することはできないものです。長い間、そういうスタイルで過ごしていれば、断ることに抵抗感じても不思議ではありません。

そもそも日本人は和を重んじる気質があります。和を乱すくらいなら、自分が我慢した方がいい、と考えてしまうこともあるでしょう。


しかしながら、フリーランスや個人事業主として働く場合、どんな仕事を受けるのか、受けないのか、常に決断をしなければなりません。

オファーされる内容には、魅力的なものから受け入れ難いものまで、多種多様なものが含まれてきます。

「来るものは拒まず」がポリシーだ、という人もいますが、自分のキャパシティを超えるような依頼が来てまで、すべて受けるとなったら、身が持たないでしょう。

確かに、フリーランスで働く人は 自分自身の看板を背負って仕事をしているわけですから、非常にシビアな世界に身を置いています。

オファーに関して、報酬や納期等の交渉等もしなければなりません。交渉の余地もなく安請け合いをしていたら、結局振り回されてしまって、付加価値の高い仕事を生み出すことが難しくなってしまいます。そうした余裕すら持てなくなるでしょう。

フリーランスだからこそ大事なこと

会社という組織から離れ、敢えてフリーランスや個人事業主として働くことを選択しているのです。生産性を高めて作ったスペース(時間)に、同じような仕事をどんどん詰め込んでいったら、売上は上がるかもしれませんが、疲弊してしまうのではないでしょうか。

仕事が恒常的に忙しい状態に、「まんざらでもない。求められている証だ」と思っているとしたら、危険かもしれません。

個人として、また事業の成長を考えるなら、生産性を高めてスペースを作り、その時間を新たな展開を思考するために、あるいはイノベーションを生み出すために投資していくことは大切です。それには、旅をしたり、読書をしたり、人と会ったり、何かを学んだり、自分のために使える時間も含まれるものだと考えます。

大きな目標があったり、守るべきものがあったり、気力・体力も漲っているうちは、走り続けられるのかもしれません。

しかし、ゆとりのないままずっと走り続けている状態は、いくら稼ぐことができたとしても、少なくとも私自身にとっては望ましい姿ではありません。

せっかくオファーを頂いた仕事を辞退するのは、とても勇気が要ることですし、精神的な負担も決して少なくありません。でも、身体はひとつです。

フリーランスとして働く人こそ、断ることを恐れてはいけないのです。

これは、仕事だけに限った話ではありません。

私たちの日常生活において、頼まれ事や誘いなど、数えてみたらきりがないほどたくさんあります。そうしたすべてにYESと言えるでしょうか?

仕事だけを特別なことだと思わないことです。

NOと言える勇気を持つことは、自分自身を守ることにもつながります。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、執筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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