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ポジショニングを変えて才能を発揮した人たち

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「石の上にも三年」という諺があります。

これは、忍耐強く辛抱すれば成功することのたとえとして用いられる言葉です。

確かに、ひとつのことを粘り強く続けること、努力することは大切なことです。一方で、自分がいる場所が適切と言えるか、ポジショニングの見極めは大事なことだと考えます。

ポジショニングを変えて活躍される方のお一人として、京都大学iPS 細胞研究所の所長を務める山中伸弥教授がいます。

山中教授は、iPS 細胞の作製に世界で初めて成功し、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことでも知られる著名な方ですが、学生時代は柔道やラグビーに熱中したアスリートだったそうです。

スポーツを通して自身が骨折など様々なケガに悩まされたことから、スポーツ整形外科医を目指し、研修医として勤務されていたそうです。ところが、不器用で手術が上手くできず「ジャマナカ」などと揶揄され、ご本人は「向いていない」と2年で見切りをつけてしまいます。

その後、基礎医学を学ぶために薬理学研究科に進むものの、そこでも挫折してしまいます。ただ、その研究の最中にブレークスルーのきっかけを見出し、アメリカでゼロから分子生物学を勉強するために留学。日本に戻って今度は ES 細胞の研究を始め、それがやがてiPS細胞の発見繋がっていったそうです。

柔軟かつ大胆にポジショニングを変えていく

手術が上手くこなせるように努力を重ねていたら、不器用とは言えそれなりに上達はしていたことでしょう。ただ、それに費やす時間と忍耐は、ご本人や周りにとってベストな選択だったといえるかわかりません。

多くの場合、「そうはいっても自分で一度は選んだ道だから」と、続けることを選ぼうとします。

日本人は、一つの分野で成功するまで、粘り強く一生懸命に頑張るスタイルを美化しがちです。いや、そう教わってきたのかもしれません。自分の選択を正当化したいという気持ちもあるでしょう。

あるいは、それまで投下してきた時間やお金、労力といったリソースを惜しむ気持ちもあるかもしれません。サンクコストの呪縛にとらわれてしまうのです。

しかし、山中教授は(もちろん相当な葛藤はあったと思いますが)自分には向いていないと見切りをつけ、ポジショニングを変えていく。そして、トライアル&エラーを繰り返しながら、最も自分が価値を発揮できる場所を見つけていきます。

前回のブログ記事でご紹介した「迷子の魂」の著者オルガ・トカルチュク氏も、心理学を学びセラピストとしてキャリアをスタートさせたものの、間もなくしてポジショニングを変え、ノーベル文学賞を受賞するまでの成功を収めています。


努力することには、意味があります。

ただ、その場所、つまり本人の資質と仕事が求める資質が合うかは、とても重要です。なかにはミスマッチの可能性もあり得るわけで、自分に合わないポジショニングでいくら努力しても、成果は得られにくいものでしょう。ならば、思いきって変えてみる。

ポジショニングを変えていくには、柔軟性と大胆な行動力、何よりも勇気が求められます。そして、目線は先を見据えていることです。自分の純粋な興味を大切にしながら。

ポジショニングを変えていくプロセスで、関わっていくフィールドも自然と広がっていきます。それが、さらに個人の中で多様性を高め、人としての成長ももたらしてくれるのではないでしょうか。

もし、あなたが今やっている仕事に誠実に取り組んでみたものの「向いていない」、と感じているなら、別のポジショニングを探ってみるのも、ひとつの打開策になるかもしれません。

それを恥ずかしいと思う必要などありません。

むしろ、行動を起こした自分自身を認めてあげてください。褒めてあげてください

ポジショニングを変えた人たちは、最初から成功など約束されていたわけではありません。何の保障もない中で、勇気を出して大海原を漕ぎ出して行ったのです。


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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、エッセイスト。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに日経styleやダイヤモンド・オンライン等の経済メディア、専門誌に多数寄稿。

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