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定年後の仕事とお金~65歳未満の在職老齢年金の見直し

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

あなたは、いつまで働きたいと思いますか?

電通シニアプロジェクト「定年女性調査」によると、「定年まで働く」という定年女子は 69.0%と多数派。さらにその中の 67.4%が「定年後も働く」と回答し、今後も働き続けることを希望する女性たちの増加が予想されます。

働く理由は「将来お金がないと不安」(55.9%)、「生計を維持するため」(52.7%)といった経済的理由がトップを占めていますが、一方で「社会と関わっていたい」(45.2%)という理由も上位に。

私には定年というものがありませんが、自分のペースでサステナブルな働き方を続けていけたらと思っています。

人生100年時代においては、70歳まで働くことも、そのうち「ごく普通」なことになっていくでしょう。

とはいえ、現状において、いきなり定年を70歳にしたり、定年を廃止したりする企業は多くありません。

高年齢者雇用安定法では、事業主が定年を定める場合、60歳を下回ることを禁じています。定年を65歳未満としている事業主は、(1)65歳までの定年引上げ、(2)定年制の廃止、(3)65歳までの継続雇用制度を設けることを義務付けており、さらに2021年4月からは、70歳までの就業機会の確保を努力義務にしました。

人事院「民間企業の勤務条件制度等調査」(2020年)によれば、60歳を定年としている企業割合は81.8%と圧倒的に多いのが実情です。

では、60歳で定年を迎えたあと、どのくらいの人が働いているのでしょうか?


厚生労働省「高年齢者の雇用状況」(2020年)によると、31人以上規模企業における常用労働者数(約3,234万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約409万人で12.7%を占めています。過去10年をみても、右肩上がりで数字は増えています。

年齢階級別では、60~64歳が約224万人、65~69歳が約117万人、70歳以上が約68万人となっています。

出所:令和2年「高年齢者の雇用状況」(厚生労働省)

また、同調査によると、60歳定年企業における定年到達者(363,027人)のうち、継続雇用された人は310,267人(85.5%)もいます。継続雇用を希望しない定年退職者は52,180人(14.4%)と、もはや60歳定年後も働き続けるのは、一般的な流れと言えます。

その大きな理由として挙げられるのが、年金との関係です。老齢厚生年金の受給開始年齢は、原則65歳から(男性は1961年4月2日生まれ以降、女性は1966年4月2日生まれ以降)です。

空白の期間を埋めるために、高年齢者雇用安定法の改正は年金とセットに行われています。生計を維持するために、体力的に健康であれば、労働条件(給与)が下がったとしても、働こうと考える方は多いことでしょう。

でも、働きすぎると悩ましい問題がありました。それは給与と年金の関係です。

22年4月から、65歳未満の在職老齢年金制度が見直し

60歳以降、厚生年金に加入して働きながら受け取る老齢厚生年金を「在職老齢年金」といいます。

2022年3月現在において、65歳未満の在職老齢年金制度は、総報酬月額相当額(*1)と老齢厚生年金の基本月額(*2)の合計が「28万円」を超える場合、年金額の全部または一部が支給停止される仕組みになっています。

*1 「基本月額」は加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額

*2 (その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

たとえば、年金の基本月額が10万円で、総報酬月額相当額が26万円の場合、合計額が36万円になりますが、現在の基準では28万円を超えるため、年金が4万円も支給停止になってしまいます。

これでは、働く意欲も削がれてしまいます。

そこで、在職老齢年金制度が見直されることになりました。2022年4月以降は65歳以上の人と同じように、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が「47万円」を超えない場合は、年金額の支給停止は行われないことになりました。47万円を上回る場合に、年金額の全部または一部が支給停止される計算方法に緩和されます。

先程の例でみると、22年月以降は合計額が基準の47万円を超えないため、年金の全額が支給される、ということです。

これは、働く意欲のある人にとっては、朗報といえるでしょう。

なお、在職老齢年金の仕組みは、厚生年金保険の被保険者として働く人を対象とするため、フリーランスや自営業等で働く人は適用されません。

高年齢雇用継続給付の見直しについて

雇用保険では、一定の要件を満たした高齢者に対して、「高年齢雇用継続給付」が支給される仕組みがあります。

具体的には、被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の方で、60歳以後の各月に支払われる賃金が、原則として60歳時点の賃金額の75%未満となった状態で雇用を継続する高年齢者に対し、 65歳に達するまでの期間について、60歳以後の各月の賃金の最大15%を支給するものです。

高年齢雇用継続給付の受給要件

・雇用保険に5年以上加入していたこと

・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること

・60歳時点の賃金と比べて75%未満に低下したこと

しかし、今後は高年齢雇用継続給付の給付率が見直されることになりました。

上述しているとおり、高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保措置が進展し、60歳定年制であっても希望すれば65歳まで継続雇用できる仕組みが定着しつつあります。

2025年7月1日から、新たに60歳となる労働者への同給付の給付率が最大で10%に縮小されます。賃金と給付の合計額が60歳時点の賃金の70.4%を超え75%未満の場合は逓減した率を、75%以上の場合は支給されません。

ちなみに、高年齢雇用継続給付は、1995年に創設されたものですが、当時の給付率は賃金の最大25%でした。時代と共に、法律の改正も行われ、また働く高齢者も増えています。

今後、段階的に高年齢雇用継続給付は縮小され、将来的に廃止される見込みです。

まとめ

60代以降の働き方や年金については、近年目まぐるしく法改正が行われ、雇用環境も大きく変化しています。年齢によって、また年金では男性・女性によっても違いがあり、ちょっと前の当たり前、は通用しません。

こういった制度に関する話は、難しいところもありますが、ぜひ最新の情報をキャッチアップして、ご自身のこれからの働き方を考える参考にしてください。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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