働き方

母健連絡カードの活用法と母性保護規定

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時々、妊娠中の働く女性から、仕事や通勤についての不安の声を聞くことがあります。貧血やめまい、立ちくらみなどの症状をはじめ、腹痛や腰痛、全身の倦怠感など、心身の変化に戸惑いながら働くことへの不安は、決して少なくありません。

まして、コロナ禍において、大勢の人と密状態になる通勤に不安を感じている方は多いと思います。

こういうときに、職場で配慮してもらえるよう「母性健康管理指導事項連絡カード」(通称「母健連絡カード」)の活用を勧めています。

母健連絡カードとは?

母健連絡カードは、働く女性が妊婦健診等で主治医等から診断や指導を受けた場合に、その指導内容を事業主に伝えるためのツール。この提出を受けると、会社は母健連絡カードに記載された主治医等の指導に基づいて、適切な措置を講じなければなりません。

男女雇用機会均等法では、「事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない」としています(第13条1項)。これは母性健康管理措置と言われています。

※新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。この措置の対象期間は、2020年5月7日~2022年3月31日とされています。

そもそも、女性労働者が保健指導又は健康診査を受けるために、必要な時間を確保することは事業主に義務付けられています(同法第12条)。ただし、そのための時間が有給か無給であるかは、就業規則の定めによります。

2021年7月から、母健連絡カードの様式が改正されました。勤務時間の短縮や作業の制限など、症状等に応じて標準的な指導事項と、具体的な内容を記載する欄などがあり、措置が必要な期間も記入できるようになっています。このカード自体が医師による証明文書のひとつになるため、別途診断書の提出は不要です。

【母健連絡カードの使い方】

(1)本人:保健指導・健康診査を受診する

(2)主治医等:措置が必要であると判断した場合に母健連絡カード記入して本人に渡す

(3)本人:事業主にカードを提出する

(4)事業主:申出に基づき、必要な措置を講じる

こちらからダウンロードできます。

仕事や通勤を含めて体調面で不安なことがあれば、一人で抱え込まずに、主治医や助産師に相談してみましょう。

母性保護規定について

労働基準法では、母性保護のための規定がいろいろと設けられています。産前・産後休業はよく知られていますが、それ以外の内容も把握しておくと安心です。以下、労働基準法における母性保護規定を紹介します。

なお、妊産婦とは、母子保健法で「妊娠中又は出産後一年以内の女子」と定義されています。

妊産婦等の危険有害業務の就業制限(第64条の3関係)

妊産婦を妊娠、出産、哺育等に有害な業務(重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務等)に就かせることはできません。

産前休業(第65条1項関係)

6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはなりません。

産後休業(第65条2項関係)

出産日の翌日から8週間は就業させることはできません。ただし、6週間を経過した女性労働者本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差支えありません。

妊婦の軽易業務転換(第65条3項関係)

妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければなりません。

妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(第66条1項関係)

妊産婦が請求した場合は、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることはありません。

妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(第66条2項、3項関係)

妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせることはありません。

(注)深夜業とは午後10時から午前5時までの就業をいいます。

育児時間(第67条関係)

生後満一年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができます。

労働基準法に関する上記の規定に違反した者は、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する規定が設けられています(同法第119条)。

マタハラはNG!

男女雇用機会均等法により、妊娠・出産等に関する措置を求めたことやこれを受けたことを理由とする解雇その他不利益取扱いは禁止されています。

育児休業等の申出や取得を理由とした不利益取扱いについても、育児・介護休業法において禁止されています。

不利益取扱いやハラスメントに関しては、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が相談窓口となっています。

まとめ

上記のようなワークルールがあることを理解し、必要に応じて請求等について検討してみましょう。

産前休業に関しては、請求ベースになるため、体調が許せば出産予定日近くまで働くことも可能です。

男女雇用機会均等法における母性健康管理措置や労働基準法における母性保護規定については、一般に就業規則に定められている場合が多いと言えます。自社のルールについて、内容を確認することをお勧めします。

執筆:佐佐木 由美子(社会保険労務士)

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