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好奇心が仕事の原動力~ギフトを活かした人

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2021年のノーベル物理学賞を受賞することが決まった真鍋淑郎・米プリンストン大学上席研究員。

物理法則をもとに、大気中の二酸化炭素濃度が気候に与える影響を明らかにした「地球温暖化を確実に予測する気候モデルの開発」の功績が認められたことが理由ということで、真鍋氏らの研究は、現在の脱炭素をめぐる議論の発端となりました。

同氏が気候変動の研究に本格的に取り組んだのは1960年代から。日本では自分のやりたい研究を続ける環境がなかったということもあり、米国気象局の招聘で渡米を決意したと言います。

そこから長年にわたって研究を続けてこられたられた原動力とは、いったい何だったのでしょう?

真鍋氏は「私の研究の原動力のすべては好奇心だった」と述べています。研究を「ただ心から楽しんでいた」と。

とてもシンプル。でも、一番大事なことではないでしょうか。

いくら壮大で立派な夢があったとしても、日々の仕事を楽しむことができず、つらいばかりの毎日であったら、ここまで何十年もの時間を費やして、仕事をし続けることはできなかったでしょう。

自分の内側から湧き出る真実を知りたいという好奇心に従って没頭できることは、とても幸せなこと。しかも、米国では自由に研究に取り組める環境があったのでしょう。

きっと、対外的な評価を受けることに、大した価値を感じていなかったのではないか、と想像します。もし権威を得るために、有名になるためにやっていたとしても、地道な研究の世界は甘いものではないはず。これほど長い間、モチベ―ションを保つことは難しいだろうと思えるのです。

うまくいこうがいくまいが、情熱が内側にあったから、ただ心から楽しむことができたから続けてきた結果、自分ばかりでなく、社会にとって役立つ成果へとつながっていったのでしょう。

ギフトを活かして働くこと

私は、誰にでも天から与えられたギフト(才能)があると信じています。

そして、このギフトを活かして仕事ができたら、自分自身も周りも社会も幸せになるはずだと思っています。

経営の神様と言われたピーター・ドラッカーは、著書で次のようなことを述べています。

まず果たすべき責任は、自らの最高のものを引き出すことである。それが自分のためである。人は、自らが持つものでしか仕事ができない。

「プロフェッショナルの条件」ピーター・ドラッカー

まさに、真鍋氏は自分に与えられたギフトを存分に生かし、自らの最高のものを引き出した人生だったと言えるのではないでしょうか。

これまでの道のりには、異国の地で、困難な場面もあったことでしょう。

そうした数々のことを乗り越えながら、決して諦めずにコツコツと、そして心から楽しみながら、研究を続けてきた人生。

ちょっと羨ましさも感じるほど、素敵な働き方、生き方だと感じました。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、執筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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