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【地中美術館】アートと自然が共生する直島の魅力

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

先月、瀬戸内海に浮かぶ直島へ行ってきました。「瀬戸内国際芸術祭2022」の会期中だったこともあり、旅客船にはアート目当てと思われる観光客らの姿をたくさん見かけました。

大小27の島々からなる直島町の中心である直島は、香川県高松市の北約13km、岡山県玉野市の南約3kmに位置する、面積8平方km、人口が約3,100人の小さな島。

ここにベネッセハウス ミュージアムをはじめ特徴的な美術館、さらに自然と溶け込むようにアート作品が至るところに展示されています。

宮ノ浦エリア

瀬戸内の持つ美しい景観と自然の中で展開されるアートや建築は、私たちを惹きつける魅力を持っています。ワクワクと胸を高鳴らせながら、甲板からの景色を眺めました。

宮浦港に降り立ち、最初に出迎えてくれる作品が草間彌生氏の「赤かぼちゃ」。まさに直島のシンボルともいえる作品の一つですが、ビビットな赤×黒とふっくらとしたフォルムが印象的で想像以上に大きい作品でした。

水玉模様は幾つか円形でくり抜かれていて中に入ることができる

港内には、海よりも真っ青な色で目を引くオブジェがもうひとつ。香川県の無形文化財に指定されている「直島女文楽」から着想を得て制作された「BUNRAKU PUPPET」という作品。活き活きとして存在感を示しています。

ジョセ・デ・ギマランイス「BUNRAKU PUPPET」

港から5分程歩いたところにあるのが、「直島パヴィリオン」。真っ青な空と白いメッシュは開放的な雰囲気。外観は島が浮き上がって見える「浮島現象」を表しているそうで、中に入って直接作品に触れることができます。

藤本壮介「直島パヴィリオン」。ステンレス製のメッシュ約250枚で構成されている

復元された「南瓜」

島内の見どころは、宮ノ浦エリアと直島港のある本村エリア、さらに美術館エリアの3つに分かれます。美術館エリアに降り立つと、今度は黄色い「南瓜」が目を引きます。

透き通るように澄んだ海。短い桟橋の上にある作品を目指して、美しい砂浜を歩きました。宮浦港の赤かぼちゃとは異なり、高さ2メートル程の大きさ。この作品は1994年から展示されていましたが、21年の台風で破損。今年10月に復元されたばかりの屋外作品です。そのせいか、色艶鮮やかに輝いていました。

1年2ヵ月ぶりに復活した《南瓜》(草間彌生 2022年制作)

地中美術館

「自然と人間を考える場所」として、2004年に設立された地中美術館。展示されている作品も建築物も、実に見事でした。地中美術館は予約制となっていますので、あらかじめ予約のうえ計画を立てて行くことをお勧めします。

美術館の入口。ここから長い坂を上って建物へ向かう

地中美術館は、瀬戸内の美しい景観を損なわないよう建物の大半が地下に埋設されています。設計は安藤忠雄氏によるもの。建築を構成する主な素材は、コンクリート、鉄、ガラス、木。無駄のない極限まで切り詰められたデザインは、スタイリッシュでありながら、包み込むような温もりを感じさせます。

建物入口。細長いトンネルの先に見える微かな光が美しい
緑が敷き詰められた四角い空間を下って館内へ。ここから館内撮影は不可

館内には、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品が設置されていました。

一番のお目当ては、クロード・モネが手掛けた最晩年の「睡蓮」シリーズ5点。

地下でありながら、優しい自然光が降り注ぎ、長く佇んでいると太陽の位置によって空間、あるいは作品の表情が変わっていくのがわかります。

真っ白な部屋に絵画と空間が一体化されていて、この美術館でしか味わえないものです。

タレルの「オープン・スカイ」は、天井から突き抜ける空と光そのものがアート作品となっていて、地中美術館のコンセプトにマッチするユニークな作品でした。

もはや建物全体が巨大なアート作品と化している、と言っても過言ではありません。

美術館の入口まで続く「地中の庭」も、モネのジヴェルニーの庭を彷彿とさせます。アイリスや睡蓮が咲いていたら、どれだけ美しいだろうと想像しつつ楽しみました。

モネの世界観を自然の中で味わうことができる「地中の庭」
地中カフェの外観。外で食事もできる
地中カフェから外に出て散策できる。目の前に広がる美しい海

李禹煥美術館

「もの派」と評される現代アートの動向の中で中心的な役割を担ってきた李禹煥と、建築家・安藤忠雄のコラボレーションによる美術館。

海と山に囲まれた谷間に位置する美術館。ヴァレーギャラリーからすぐ近くにある
屋外作品の数々。海に面した開放的な空間
奥に見えるコンクリートが美術館

ヴァレーギャラリー

李禹煥美術館入口から歩いてすぐ、通りの向かい側にあるのが安藤忠雄氏の設計による2022年3月にオープンしたヴァレーギャラリーです。予約の必要はありません。受付もテントに人がいるだけで、とてもシンプル。

祠(ほこら)をイメージした小さな建物と周囲の屋外エリアで構成されています。

奥に見えるのが展示室。ベネッセハウス宿泊者は無料で鑑賞できる

建築の屋内外に展示される草間彌生氏の《ナルシスの庭》が実に印象的。大量のミラーボールが芝生や屋内に敷き詰められて見る人を映し出します。

水辺に浮かぶミラーボールは、風に乗って軽妙に音を立てながらぶつかり合い、形を変えていく様も見ていて飽きません。

展示室に入ると、コンクリートと自然光、そして作品のコラボレーションに独特の世界観が広がっています。建物が小さいだけに、周囲の自然に包み込まれている安全基地のような場所。天井の不規則な切れ間から降り注ぐ光が、時間とともに作品の表情を変えていきます。

建物内に入ると細長いアプローチの先に作品が輝いている
草間彌生《ナルシスの庭》(1966/2022)

アートと自然が共生する素朴で美しい直島。その魅力の一部に過ぎませんが、雰囲気を感じてもらえたらうれしいです。

風を切り、船に乗って島に渡るのも、旅気分を味わえます。天気に恵まれ、最高でした。日本国内には、知らないだけで素敵な場所がたくさんありますね。ぜひまたゆっくりと訪れてみたいと思います。

アートを巡るエッセイ

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、エッセイスト。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに日経styleやダイヤモンド・オンライン等の経済メディア、専門誌に多数寄稿。

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