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どこで働く?地方移住という選択肢

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コロナ禍を契機に、テレワーク/リモートワークに関する相談が増えました。

もともと顧問先はリモートワークを他社に先駆けて推進している企業が多かったものの、一部の社員や部署に限定的であったり、週何日かは出社を要請していたり……といったケースは珍しくありませんでした。

それが、オフィスを引き払ってフルリモートワークへ移行する会社も出始めました。引き払わないまでも、面積を狭めてコンパクト化したり、あるいはシェアオフィスを借りたり、といった動きもみられます。

本格的なリモート体制でのワークモデルへシフトした企業は、多いのではないでしょうか。

完全にリモートで、あるいは月に2~3日出社する、という働き方と、毎日会社へ通勤する働き方とでは、生活が大きく変わります。

これまでは、通勤を前提に住む場所やライフスタイルを決めている人が圧倒的に多かったので、その前提が崩れて「だったら好きなところへ住みたい」と考えても不思議ではありません。

むしろ、本来は自分中心で考えてよいはずなのに、私たちは無意識のうちに会社中心であることが当たり前のようになっていた。このことが不自然だったのかもしれません。

リモートワークの恩恵

リモートワーク体制が落ち着いてきたと思ったら、今度は従業員の地方移住に関する相談を少しずつ受けるようになりました。それは30歳前後の比較的若い既婚の従業員から(企業の人事担当者を通して)のものです。

多くは、「子育てを自然豊かな場所でしたい」というもので、結婚したての人やとても小さいお子さんがいる方たちでした。時々の出社を考えて、東京からアクセスのよい立地、たとえば長野県や山梨県あたりなど。

あるいは、中核都市にコンパクトな住まいを確保しつつ、地方との二拠点生活(デュアルライフ)を楽しみたいという人もいます。これも以前であれば、出来る人は限られていたのではないでしょうか。住居費がダブルでかかりますが、工夫次第でこれまでと同じ程度におさえてやりくりしている方もいるようです。

また、移住とまではいかなくとも、千葉や神奈川、埼玉で住居費が都心よりもかなりリーズナブルで、通勤しようと思えばできる(時々ならば許容範囲な)場所へ引っ越しをされる方もいました。

なかには、親の介護を理由に、実家近くへ引っ越しをするケースも。以前であれば、介護離職をしていたようなケースです。

雇用が継続できる選択肢が増えたことは、リモートワークの恩恵だと感じました。

地方の女性が転出するのは?

コロナ禍を受け、移住を希望する人は着実に増えているように見えます。

しかし、総務省の住民基本台帳人口移動報告をもとに分析したニッセイ基礎研究所の調査によれば、転入超過となったのは東京都など7都府県(2021年1月~6月の上半期)のみ。思ったほど地方に流入していないことがわかります。

男女別に見ると、同時期において女性の転出数が男性を上回ったのは33道県もありました。つまり、地方では女性の流出が目立っているのです。特に20代の若い世代おいて、東京都は根強い人気があります。

これは、裏を返せば地方で魅力的な仕事が少ない、あったとしてもキャリア形成を望めないから転出したということでしょう。

もし、リモートワークの広がりで地方へ移住する人がもっと増えれば、さらにそういった人たちが兼業・副業、ポートフォリオワーカーとして地元のビジネスに関わり合う機会が増えれば、絶妙な化学反応が双方に起こってくるのではないでしょうか。人材交流の活発化も期待できます。

政府が「骨太の方針」に週休3日制を盛り込んだことも、地方における兼業・副業を広めて再生させることが狙いのひとつにあると言えます。

企業もリモートワークにシフトしたマネジメントスタイルに変えなければなりません。遠隔にいる従業員への人材育成についても考えていく必要があります。

そうなれば地方にいたまま、女性たちもこれまでとは違ったキャリア形成の在り方が見えてくるかもしれません。

これは少し楽観的なシナリオかもしれません。しかし、働き方の多様化は、地方経済や人口動態など広範囲にわたって影響を与えるものだと思います。

「お試し移住」や「ワーケーション」も

そうはいってもいきなりは考えられない、という人のために、最近は「お試し移住」を受け入れる自治体も出てきているようです。これは面白い取り組みではないでしょうか。

「お試し移住」も抵抗がある方は、「ワーケーション」を体験してみる、という方法もあります。今後、ワーケーション用の施設も増えていくでしょう。

ただ、会社勤めの場合、お試し移住やワーケーションが認められていない場合もあります。

むしろ、これらは少数派であって、会社に出社しなくてもよいものの、就業場所は自宅のみと定められている場合もあります。この点は、自社の就業規則などで確認してください。

緊急事態措置等期間にある中、思うように移動はできない状況ですが、この状況がずっと続くわけではありません。

海外渡航が自由になれば、海外を含めて働く場所を選択する可能性も広がります。

自分に正直に、どこでどんな風に働きたいのか、考えてみてはいかがでしょうか。


執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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