こんにちは、佐佐木 由美子です。
退職後、早期に失業手当をもらいながら、リスキリング(学び直し)をしたいと考えている方はいませんか?
そうした方に朗報です。
2025年4月1日以降、学び直しのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、失業手当(雇用保険の基本手当)が速やかに受けられるようになりました。
このエントリでは、「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第26号)の施行により2025年4月以降の改正内容等についてお伝えします。
※このエントリでは、雇用保険の基本手当を「失業手当」と表記します。
給付制限が解除されるのはどんな人?
雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合、失業手当はその受給資格決定日から7日間の待期期間満了後、1か月から3か月間、支給されない期間(これを「給付制限」といいます)が設けられています。
退職日が2025年4月1日以降の場合、給付制限は原則「1か月」、同年3月31日以前の場合は原則「2か月」です。
ただし、退職日から遡って5年間のうち、2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。
そして、2025年4月1日以降に教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、速やかに失業手当が受け取れるようになりました。
給付制限が解除される人は、以下のいずれかの教育訓練等を離職日前1年以内に受けた人(途中退校は該当しない) または離職日以後に受けている人です。
1.教育訓練給付金の対象となる教育訓練
2.公共職業訓練等
3.短期訓練受講費の対象となる教育訓練
4.上記1~3に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
対象になる教育訓練等は、2025年4月1日以降に受講を開始したものに限ります。
なお、重責解雇された場合は、この取り扱いの対象外となります。
教育訓練給付金とは?
教育訓練給付金とは、働く人々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給される雇用保険の給付制度です。
対象となる教育訓練は、「専門実践教育訓練」、「特定一般教育訓練」、「一般教育訓練」の3種類があり、それぞれ給付率が異なります。

教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件がありますが、正社員に限らず、契約社員やパートタイマー、アルバイト、派遣社員などの方も対象となります。
以下のフローチャートでご確認いただければと思いますが、ハローワークで支給要件照会の手続きをすると、給付が受けられるかどうかをより詳しく調べることができます。

対象となる教育訓練には、オンラインで受講できる講座や、夜間・土日に受講できる講座もあり、働きながら受講することができます。
対象の教育訓練は、約17,000講座もあり、具体的な講座は「教育訓練給付金講座検索システム」で検索できます。ご興味のある方は、どのような講座があるか一度チェックされてみてはいかがでしょうか。
公共職業訓練とは?
公共職業訓練とは、希望する仕事に就くために、必要な職業スキルや知識などを習得することができる公的制度です。
受講料は原則無料(テキスト代は自己負担)で、身につけたいスキルに合わせた多数のコースがあります。
対象となるのは、ハローワークで求職申込みをしており、主に雇用保険を受給している方となります。そしてハローワークからの「受講指示」が必要となります。受講指示は、訓練開始時点での失業手当の残日数で判断されるため、受講を検討している方は早期からお住まいを管轄するハローワークに相談をされておくとよいでしょう。
給付制限期間中に訓練を開始する場合、給付制限期間が訓練の前日までに短縮されます。
また、訓練期間中に失業手当の所定給付日数がなくなった場合も、訓練修了日(退校日)まで延長される手厚いメリットがあります。
どうすれば給付制限が解除される?
教育訓練等を受けた(受けている)人が給付制限の解除を受けるには、受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までにハローワークに申し出る必要があります。
申出の際に必要となる書類は、以下のとおりです。
*受給資格決定以降に受講を開始する場合、または受給資格決定時に受講中の場合
→訓練開始日が記載された領収書または訓練実施施設による訓練開始日の証明書等
*訓練実施施設による訓練開始日もしくは訓練終了日の証明書
→訓練終了日が記載された修了証明書または訓練実施施設による訓練修了日の証明書
まとめ
在職中は多忙で「新しいスキルを身に着けたい」、「キャリアアップしたい」など思っていても時間が取れない方もいらっしゃると思います。
一方、退職すると経済面で困るため、失業手当を速やかに受給しながら学び直せる機会があれば挑戦したい、という方もいらっしゃることでしょう。
こうした制度があることを事前に知っていれば、選択肢も広がります。
実際には、様々なケースが想定されるため、少しでも不明な点があれば、お住まいを管轄するハローワークへお早めに相談されることをおすすめします。
職業人生が長期化する中で、リスキリングによって新たな仕事に移行する人は今後もっと増えていくのではないでしょうか。
そうした後押しとして改正も行われていますので、次の一歩を踏み出すために、制度の活用もご検討いただければと思います。
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