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芸術の効能とウェルビーイング

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

アートや建築に興味があり、時間を見つけては美術館をはじめとするアート施設に足を運んでいます。クラシック音楽も好きなので、年間を通じて演奏会にも出かけます。

近年は、アートをめぐる旅も満喫。

人生の楽しみとして、マイペースに各地の美術館や史跡などをめぐりたいと考えています。

個人的な趣味としてこうした活動を続けているわけですが、近年は芸術が健康によい影響を与えることが知られるようになりました。

世界保健機関(WHO)は、3000を超える研究の結果、生涯を通じた不健康の予防、健康の増進、疾病の管理・治療において、芸術が大きな役割を果たすことが明らかになったと2019年に報告書を発表。

What is the evidence on the role of the arts in improving health and well-being?

芸術が感情的な反応を引き起こすことや、創作活動に新規性、創造性、独創性が必要なことなどを指摘。

芸術と関わることで、日常生活を肯定的に捉え、自らの人生に満足するなど多面的で主観的な幸福感が高まることを示す多くの研究が示しています。

高齢期に筋力や心身の活力が低下するフレイルになるリスクも軽減されるとも。

芸術が健康に良いという科学的なエビデンスによって国際的な関心が高まり、ヨーロッパをはじめ多くの国では、人々の健康とウェルビーイングに資するアート活動や文化政策が見られるようになりました。

認知症などの病気の予防や生活習慣病の管理、望まない孤独や社会的孤立などからくる精神疾患などに対して、芸術が新たな役割を果たす可能性が示唆されています。

日本での取り組みは?

日本は、世界に先駆けて超高齢化が進む国。

超高齢化社会における課題の一つが「望まない孤独や社会的孤立」です。

国内の試みとしては、たとえば東京芸術大学が中心となり、産官学の39機関が参加する一大プロジェクト「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」が始まっています。

ビジョンとして、アートと福祉・医療・テクノロジーを融合させ、多様な人々と社会とを結ぶアートを介したコミュニケーションを用いて、「文化的処方」※を開発し、孤独孤立および精神的貧困の解決に取り組み、「こころの豊かさ」のある社会を創造することを掲げています。

※「文化的処方」とは「社会的処方」から着想を得たもので、人と人のつながりや地域資源の活用によって健康やウェルビーイングを地域や社会ぐるみで高めようとする取組み。

個人的には、予算の問題などもあるとは思いつつ、各地域の美術館においてアートコミュニ―ションが広がるような試みがもっと広がると素晴らしいと思います。

たとえば、健康経営に関心のある地元企業とタッグを組んで、地域全体を巻き込んだプロジェクトに発展させるのもひとつ。

また、遠いエリアからの来訪者も楽しめたりするような仕組みがあったら、リピーターも口コミも増えるのではないでしょうか。

アートのポテンシャル

孤独・孤立の問題は、新型コロナウイルス禍で深刻になったとの見方があります。

あまりメディアには大きく取り上げられていませんがが、2024年4月から「孤独・孤立対策推進法」が施行されています。

孤独・孤立対策推進法の概要

私たちが生きていくうえで、『人とのつながり』はかけがえのないもの。

その架け橋となってくれるひとつに、芸術を通した活動があると思います。

美術館・博物館をはじめとするアート施設は、単に芸術を鑑賞するための箱ではありません。

「文化的処方」が得られる人々の大事な居場所になる可能性を大きく秘めています。

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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、執筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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