子どもが生まれるという出来事は、 人生の中でも大きな節目のひとつです。
これまで当たり前のように流れていた時間が、 違うリズムを持ち始める瞬間ともいえるでしょう。
その節目に、男性が育休(「産後パパ育休」と「育児休業」の総称としてここでは「育休」といいます)を取るという選択肢は、ここ数年でようやく現実味を帯びてきました。
かつて育休と言えば、女性のキャリア課題として取り上げられる側面がありましたが、今では男女がパートナーとともに考える時代になりつつあります。
しかし、実際に考え始めると、
「収入はどうなるのか」
「仕事に戻ったときの影響は」
「キャリアが不利になるのでは」
そうした揺らぎが、心の中に生まれるのものではないでしょうか。
制度は、その揺らぎを消してくれるものではありません。
ただ、迷いの輪郭を少しだけ整えてくれることがあります。
育休は、家族の形が変わるタイミングで、自分の働き方や時間の使い方を見つめ直すための、 大きな節目になります。
これまで仕事中心だった時間の流れが、一度立ち止まり、
「家族との時間をどう扱いたいのか」
「これからどう働きたいのか」
そうした人生において大事なことを考える機会にもなります。
静かに浮かび上がる問いに向き合うには、制度を知っておくことが、ひとつの前提になります。
「育休か、フルタイムか」以外の選択肢
男性が育児期の働き方を考えるとき、
「育休か、フルタイムか」
という二択で考えてしまいがちなところがあります。
しかし、実際にはその間にあるグラデーションを支える制度があります。
それが「育児時短勤務制度」です。
会社によって名称はそれぞれ異なるかもしれませんが、要は所定労働時間を短くすることができる制度を指します。
育児・介護休業法では、子が3歳になるまでは育児のための時短勤務制度を設けることが事業主に義務付けられています。
これはもちろん、男女が利用できる制度です。
さらに、2025年10月以降は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して『育児期の柔軟な働き方を実現するための措置』が義務化されています。
企業によっては、短時間勤務制度を選択肢の一つとして用意しているケースは多いと思われます。
そして、2025年4月からは、2歳に満たない子を養育するために時短勤務をした場合に「育児時短就業給付金」の制度もスタートしました。
これは、育児のために時短勤務を選んだとき、収入が大きく落ち込まないように支える仕組みです。
この制度があることで、「育休を取って完全に仕事から離れるのではなく、しばらく働き方をゆるめたい」という選択が、現実的になります。
【メモ】「育児時短就業給付金」とは?
- 育児時短勤務による減収の一部を補う制度
- 2歳未満の子を育てる雇用保険被保険者が対象
- 育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当が目安
- 詳しくは、厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」
男性において、時短勤務のニーズは大きくないという調査結果もあります。
ただ、完全に休むのではなく、「時間を短くしてでも働き続けたい」という人もいるかもしれません。
一方、「フルタイムで仕事を続けたいが、残業までは対応しきれない」という人もいることと思います。
そうした場合には、職場に残業の免除を請求することも可能です。
現在は、「小学校就学始期に達するまでの子」を養育する労働者は、育児のための所定外労働の制限(残業免除)を受けることができます。
制度を「選択の前提」として置くということ
制度は、使うかどうかの前に、知っているかどうかで大きく差が生まれます。
知らないまま選択するのは、 選択ではなく流されることに近い状態です。
でも、制度を前提に置くことで、自分の価値観に沿った選択がしやすくなります。
男性育休も、育児時短勤務も、またそれ以外の制度についても、「どう生きたいか」、「どう働きたいか」を考えるためのひとつの手がかりです。
「うちの職場ではできない」と諦めるのではなく、自分にとって望ましい選択はどういうものか、ぜひ前向きに考えていただけたらと思います。
制度を知ることは、 働き方を選ぶときの視点を少しだけ広げてくれます。
もし、こうした視点を体系的に整理したいと感じたら、 Udemy で公開しているオンライン講座「育児と仕事の両立講座」も選択肢のひとつとして置いておいてください。
働き方の選択肢や様々な給付金、社会保険料免除など、最新の制度をまとめています。
節目に立ち止まるとき、 何かのヒントになればうれしく思います。


