こんにちは、佐佐木 由美子です。
2025年4月1日より、「育児休業給付金」における支給対象期間の延長手続きする際に、審査が厳格化されることをご存知でしょうか?
このエントリは、「育児休業給付金」を受給中(または受給予定)で、お子さんが1歳以降、保育所に入所できないために引き続き育児休業給付金の受給延長を検討されている人に向けて書いています。
人事労務のお仕事をされている方にも参考になる内容なのでご活用ください。
審査厳格化の背景
育児休業は、育児・介護休業法に定められているもので、労働者の雇用の継続を図るために、原則として子が1歳に達するまでの間に労働者の希望により取得することができます。
育児休業中は、お休みは取れても無給となるケースが多いため、休業中の生活を支援し、育児休業を取得しやすくするために、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されています。
さらに一定の事由がある場合に限り、最長で子が2歳に達するまで育児休業および育児休業給付金を延長する仕組みがあります。
延長理由として多いのが、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行ったにもかかわらず、当面保育が実施されないケース。
ところが、この中には育児休業給付金の受給期間を延長する目的で、あえて「落選ねらい」で保育所等の入所申込みを行うケースもあり、かねてより問題視されていました。
そこで期間延長の審査について見直しが行われることになったのです。
「保育所等」とは、児童福祉法39 条に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する認定こども園および児童福祉法に規定する家庭的保育事業等を指し、認可外保育施設は含みません。ここではシンプルに「保育所」で統一します。
2025年4月からの変更点
現行では、育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているにもかかわらず、当面その実施が行われない場合に、育児休業給付金を延長することができます。
この要件に加えて、2025年4月1日からは「市区町村に申し込んだ内容が、速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであること」が追加されました。
子が1歳に達する日または1歳6か月に達する日が2025年4月1日以後となる方が、育児休業給付金の支給対象期間の延長を行う場合は、必ず次の書類を延長時の「育児休業給付金支給申請書」に添付しなければなりません。
1.育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
2.市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
3.市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
申込書の写しは市区町村に申し込んだものと同じものであれば、市区町村の受付印は不要です。利用申し込みの内容を途中で変更した場合は、変更後の申込書の写しを提出する必要があります。
申込書の写しは全てのページを提出しなければなりません。また、市区町村に入所申し込みを行ったときに、入所保留となることを希望する旨の書類を提出している場合は、その書類の写しも提出します。
このように、延長手続きには保育所の利用申込書の写しが必要となるので、市区町村に保育所の利用申し込みを行う際は、必ず申込書の写しをとって保管しておいてください。
電子申請で申し込みを行った場合は 、申込内容を印刷したもの、または、申し込みを行った画面を印刷したものが必要になります。
育児休業給付金の支給対象期間延長の要件
ここで育児休業給付金の支給対象期間延長の要件について、改めて確認しておきましょう。
以下の1~3すべてを満たす必要があります。
1.あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること
2.速やかな職場復帰のために保育所における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること
※①~③すべてを満たす必要があります
①原則として子が1歳に達する日(*)の翌日以前の日を入所希望日として入所申し込みをしていること。
②申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないこと
③市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと
3.子が1歳に達する日(*)の翌日時点で保育所の利用ができる見込みがないこと
* パパ・ママ育休プラス制度の活用により、育児休業終了予定日が子が1歳に達する日後である場合は、育児休業終了日。ただし、育児休業終了予定日が子が1歳2か月に達する日である場合は、1歳2か月に達する日。
申告書のダウンロード
「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」(入力用)は、こちらからダウンロードすることができます。
申し込んだ保育所が、合理的な理由なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないことに注意してください。
「合理的な理由」として認められるのは、原則として次の①~⑤のいずれかに該当する場合です。
①申し込んだ保育所等が本人または配偶者の通勤経路の途中にある場合(本人または配偶者の勤務先からの片道の通所時間が30分未満の場合を含みます)
②自宅から30分未満で通うことができる保育所等がない場合
③自宅から30分未満で通うことができる保育所等の全てについて、その開所時間または開所日(曜日)では職場復帰後の勤務時間または勤務日(曜日)に対応できない場合
④子が疾病や障害により特別に配慮が必要であり、30分未満で通える保育所等は全て申し込み不可となっている場合(医師の診断書、障害者手帳の写し等が必要です)
⑤その他、きょうだいが在籍している保育所等と同じ保育所等の利用を希望する場合、30分未満で通える保育所等がいずれも過去3年以内に児童への虐待等について都道府県または市区町村から行政指導等を受けていた場合も「合理的な理由」として認められます。
まとめ
2025年4月1日から、保育所に入所できないために育児休業給付金の支給対象期間を延長する場合の手続きが見直されることになりました。
具体的に、子が1歳に達する日または1歳6か月に達する日が2025年4月1日以後となる方が育児休業給付金の支給対象期間の延長を行う場合、申請時の添付書類として、以下の3点が必要となります。
(1)育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
(2)市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
(3)市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知
育児休業給付金を延長されたいご本人も、会社の担当者の方も、押さえておくべき重要な変更点です。
延長申請に関してご不安がある場合は、社会保険労務士など専門家や事業所を管轄するハローワークに問い合わせて対応されることをお勧めします。
